師走の日本風情(1)
2008年もそろそろ終わりを迎えます。
みなさま、今年もSense of Grooveをごひいきいただきまして誠にありがとうございました。来年も、みなさまに足を運んでいただく度に、The Roomのカクテルに音の祝祭を添えたひと時をお届けできるよう精進して参ります。
さて、それでは不肖私DJ DANJOH(弾正)が年末に味わった日本の師走の一風景をご笑覧いただければ幸いでございます。
30日、栃木県在住の家族を連れて、茨城県の大洗/那珂湊に行ってきました。年越し用の買い出しといえば、やはり魚市場。東京ではアメ横の賑わいが有名ですね。多くの買い物客に埋め尽くされた小道、濁声の売り手とおばちゃんたちの抗争、その裏をツンとした顔で歩く兄ちゃん、フライトジャケットにちょっぴり大陸系水商売の香りがする女性を連れているというのが風物詩です。
これとは違い、那珂湊は長閑なもんです。もちろん混み合っている度合いも熱気も負けてはいません。ネギリだって交渉だって、どんな表現を使っても足りないくらい、お互いが価格の落としどころを謀っています。
違うんです。「ゆとり」なんです。漁港に棚を出して売りに出ているのは、漁師さんたちその人なのです。彼らは、私たちが知らないところの、つまり、まだ日の出ぬ早朝の「戦士」です。そして朝飯を食って売りさばいて、昼になったらもうアフターアワーのような感覚なんでしょう、私たちが訪れた日が傾きかけた午後3時には、いろいろな地魚/鮮魚がすでに底値になっています。漁師たちの戦いはすでに海から上がったときに終焉を迎えているのです。
その恩恵にあずかり、私たちはアンコウの胆、牡蠣、カニ、マグロ、サザエ、イカ、などなど買い込みました。年越しの準備も万端です。
そして帰りに那珂湊の料理店でアンコウ鍋をいただきました。この旨さといったら、凡庸な言い方ですが、筆舌に尽くせません。日本人であるからこそ、心と体が同時に芯から温まってゆくような感覚、これが理解できると信じています。
私事ですが、去年まで2年間入院していた父が、闘病生活のあいだこぼしていた「アンコウ鍋が食べたい」という願いをやっとかなえることができました。
これぞ日本の師走!